「では、殿。
後のことはお任せしてよろしいでしょうか?」
「ふむ。」
ひとしきり笑った後、左近さんは三成に声を掛けて立ち上がり朱里さんと紅葉さんを連れて部屋から出て行った。
私は、やっぱり何もわからないまま、だから何も言えないまま彼らの背中を見送った。
彼らの変わりに部屋に訪れたのは静寂。
三成と二人の部屋。
ドキドキと大きく音を立て始めた心臓の音だけが私の耳の奥に響いている。
「えーっと…じゃあ私も準備の続きを…」
してきますと言って立ち上がろうとしたけれど気がつけば私は三成の腕の中。
ち、近いですッ!
視線を持ち上げると彼の綺麗な顔が私の目の前にあった。
長い睫に縁取られた目が私を射るように見つめている。
「あ...あの...。」
何か話さなければと焦りながら口を開くと落ちてくるのは彼の柔らかい唇。
触れるだけの優しいキス。
「真っ赤だぞ。」
彼はクスリと笑い、私の頬を彼の細くて長い指が滑った。
赤い顔をしているのは自分でも自覚している。
だって、頬が燃えるように熱い。
頬だけじゃない。
私の体全部が熱くて溶けてしまいそうだ。
彼の胸に位置する私は顔を上げて彼を見つめた。
見ていたかった。
彼の姿を...。
恥ずかしいと感じる気持ちもあるけれど、彼の側にいると私の瞳は彼から離れないんだ。
「そんな目をして誘っているのか?」
彼の腕の力が強くなり、私は彼の胸に顔を埋めるようにして抱き寄せられた。
そして、落ちてくるのは彼の熱い吐息が混じった言葉。
彼の言葉の意味は私にも理解できる。
私の瞳は彼を欲しているのだろうか。
彼の瞳には私はそんな風に映っているのだろうか。


