「紫衣、これは大阪に出立が決まってから三人で話し合ったことなのだ。」
三成が私と紅葉さんを見てから口を開いた。
「泣き虫の紫衣。泣いてるのか?」
さっきまでの驚いた様子を微塵も感じさせない紅葉さんが小声で私に話しかける。
「なによッ!
紅葉さんだって同じ気持ちでしょ?」
「お前、俺を側に置くのが泣くほど嫌なのかよ!」
「そうではないわ。
私がじゃなく、紅葉さんが私なんかに仕えるのがもったいないって言ってるのよ!」
「はんッ!
それはそうだな。
でもそれを決めるのはお前じゃない、慎めよ紫衣。」
言い合う私達を止めたのは朱里さんだった。
「いい加減にしなッ!」
朱里さんの一喝で口を閉じる私を睨みつけるのは紅葉さん。
その瞳は私を責めているようでジワリと涙が滲んでくる。
紅葉さんの意地悪!
私は悪くないもん!
紅葉さんなんて嫌いだ!
紅葉さんのS男ーッ!
涙を浮かべながら紅葉さんを睨み返す私に紅葉さんも更に顔を険しくして睨み返してくる。
そんな私達に呆れたような左近さんの声が飛んできた。
「本当に二人は仲がいい。殿、妬けるのではないですか?」
「ふむ。」
左近さーん。
何か勘違いしていますよー。
とんでもない勘違いですよー!
そんな風に叫びたかったのは私だけではないみたいだ。
口をパクパクしながら紅葉さんも唖然とした様子で左近さんを見ていた。
そんな私達を見て三人はクスクスと声を立てながら笑っている。
その姿をポカンと口を開けたまま凝視するしかない私達の姿に三人は更に肩を震わせ始めた。
何か笑われるような事したのかしら?
首を捻り考えても笑われる意味が皆目わからなかった。
彼らの笑いのツボがわからないとボンヤリと考えている私に追い討ちをかけるように紅葉さんも笑い出したんだ。
益々困惑する私。
どうしてみんな笑っているの?


