「そんな憎ったらしい顔してたら殿に嫌われるよー!」
廊下を歩きながらも憎まれ口を叩く紅葉さん。
どうして紅葉さんはこんなに意地悪なんだろう...。
憎ったらしいのは紅葉さんのほうじゃない!!
心の中で悪態をつきながら彼の後ろをついて歩く。
だけど紅葉さんってとっても綺麗。
女姿の紅葉さんは当然ながら男姿になっても彼は光って見える。
左近さんといい朱里さんといい三成もそうだ。
私の周りには男女問わず綺麗な人が多すぎる。
なんだか自信なくしちゃうな。
「殿、お連れしました。」
ボンヤリ考え事をしていると三成の部屋の前に着いていた。
「入れ。」
襖を開けて私に先に入るように進めてくれる紅葉さんに従って、部屋の中に足を踏み入れた。
部屋には三成だけでなく左近さんと朱里さんも座っていた。
三人揃っているなんてとても珍しい。
特に全員が大阪に行くと決まってからは揃うことはなかった。
「これで全員揃ったな。」
三成が話を始めた。
「殿、大阪でのことでございますか?」
三成の言葉に最初に口を開いたのは左近さん。
さすがに三成の家老を務めるだけあって彼とも対等に話をしている。
そんな人の娘になった私は相変わらず何も出来ないまま...。
そんな自分が情けなくて体を小さくしていた。