「何をしているのかと聞いているのだ!」
落ちてくる彼の低い声。
眉間に深いシワを刻む彼の表情は冷たい。
怒ってる?
怒ってるよね?
というか誤解してますよね?
倒れ込んだ私を庇うために紅葉さんの手は床と私の後頭部の間に差し込まれ、その為に私の体の上には紅葉さんの体がピッタリと重なっている。
こんな姿を見たら誰だって誤解するに決まっている。
言葉もでないし体だって動かないのに頭だけは妙に鮮明だ。
だけど紅葉さんは違った。
「殿ッッ!!」
突然の三成登場に彼の動きは素早かった。
私の体の上から飛び退くようにして彼の前に跪いたんだ。
当然床と私の後頭部の間に差し込まれていた彼の手も引き抜かれて私の頭は床にゴンッと派手な音を立てて着地した。
「痛い!!」
「黙れ!紫衣」
余りの痛さにウルウルと瞳に涙をためる私に八つ当たり気味の紅葉さんの声。
「ひどいよ!紅葉さん。頭打ったじゃない!!」
「喋るな!」
「助けてくれてもこれじゃ意味ないよ!」
「黙れと言っただろう!」
「紅葉さんの鬼ー!!
覗き魔ー!
エッチー!!」
彼の理不尽な言葉に私の口は止まらなかった。
三成がいることさえ私の頭の中からは綺麗に抜けていたんだ。


