「驚いた?」
紅葉さんと二人で暗い廊下を歩いた。
彼がずっと三成の妻の役をしていた理由はわからないまま。
だけど三成と話をしてから彼の私への態度が柔らかくなった気がする。
「驚くことばかりで、一番何に驚けばいいのわからないくらいです。」
「なんだそれ。」
クツクツと楽しそうに笑う紅葉さん。
だけど彼も何かに傷ついているのだろうか…
なんだか元気がないように思う。
「もう少し話したいことがあるから部屋に入ってもいいか?」
部屋の前まで送ってくれた紅葉さんは襖を開けようとする私に声を掛けてきた。
断る理由なんてない。
私は頷いてから襖を開けて先に紅葉さんを部屋に入れた。
寝る気満々で布団を敷いてある部屋。
布団の上で紅葉さんの悪口を叫んでいたら気配なく現れた彼に三成の部屋に連れて行かれた。
部屋は私が出て行ったまま、慌てて布団を片付けようとする私に紅葉さんは静かに床に腰を下ろし、私も座るようにとポンポンと床を掌で叩いた。
私は片付けるのをやめて紅葉さんの前に座った。
「紫衣、殿を絶対に裏切らないと約束できるか?」
私を正面からまっすぐ見つめながら話す紅葉さん。
彼が何が言いたいのか私には理解できなかった。
首を傾げる私に紅葉さんはポツリポツリと話し出したんだ。


