「これからの話をしておきたいのだ。」
笑う紅葉さんを手で静止して三成が口を開いた。
「これから?」
「そうだ。3日後にはここを出立して大阪に向かう。その時に紫衣にも同行してもらいたいのだ。」
この城を出て、大阪に…
三成と一緒に行けることは嬉しい。
だけど…
左近さんは?
朱理さんは?
困惑して言葉を発することが出来ない私に紅葉さんの厳しい言葉が落とされたんだ。
「大阪のお屋敷には殿の奥方もおられるが紫衣は大丈夫か?」
奥方様。
三成の奥さん…
「………。」
言葉が出なかった。
ずっと心の奥底にしまい込んで考えないようにしてきた現実。
彼に奥さんがいることは本にも載っていたこと、知っていたこと。
だけど私はそれを考えないようにしてきたんだ。


