お兄ちゃんが誰なのかわからない。


私の好きな人?


今の私には誰もいないんだよ。


良君を思い出すと急に胸がズキズキと痛みだした。


「好きな人はいないよ。」


小さな子供に何言ってるんだろう。


そう思うのに止まらなかった。


「お姉ちゃん、大好きな人とお別れしちゃったんだ。」


少女は私を見てまたニッコリと笑うと話し出した。


「お兄ちゃんの所に行くためにお別れしなくちゃいけないんだよ。
紫衣もお兄ちゃんの為にみんなとお別れしてきたんだよ。」