朱里さんは溜息を大きく吐き出して紅葉さんに言葉をかけた。
「紫衣がお前を認めたんだ。アタシは何も言うことはない。後はアンタに任せるよ。」
私のわがままを聞いてくれた朱里さん。
私はもう一度深く朱里さんに頭を下げた。
「朱里さん、ありがとうございます。」
朱里さんはつらくなったらいつでも帰っておいでって言い残して部屋を出て行った。
同じ城の中にいるのに大袈裟なんだから...って思いながら私は朱里さんに頷くことで返事をした。
「いいのか?お前の唯一の味方の朱里を帰してしまって、俺のしごきはキツクて有名だぞ。」
「紅葉さんも誰かにしごかれたんでしょう?それってもしかして朱里さんですか?」
「そんなこといちいちお前に話す必要はない。」
彼はそっぽを向いて私に答えた。
素直じゃない彼の態度はわかりやすい。
左近さんと一緒にいるときの朱理さんとソックリなんだもん。
「これからよろしくお願いします。」
床に手を突いて頭を下げながら挨拶をした私に彼は満足そうに微笑むと、すぐにその笑顔を意地悪なものに変えて話し出した。
「床に着く手の位置が悪い。頭を下げる姿勢も背筋が曲がっているよ!」
全て一から叩き直さないといけないと溜め息を吐き出す紅葉さん。
だけどそれが私には嬉しかった。
紅葉さんにこれから色々と教えてもらえるって事だとわかるから。
素直じゃない紅葉さんが私をちゃんと指導するって言ってくれたんだよね?
今度は背筋を伸ばしたまま頭を深く下げて言ったんだ。
「これからもよろしくお願いします。」


