肩が震えだす前に、涙の量が増える前に部屋から離れたかった。
なのにそれも叶わなかった。
「紫衣、どうした?」
部屋から出てきた三成に腕を掴まれたのだ。
泣いている姿を彼に見せたくなくて私は彼の腕を振りほどいて廊下を走った。
とても失礼な行為。
もう二度と彼に合わす顔がない。
勝手に好きになって、勝手に期待して...
そして持て余した感情を自分で処理することも出来ずに彼に無礼な態度を取るなんて最低だね、私。
「待て。」
走っても結局逃げることを許されない。
私は彼に捕まってしまった。
「ごめんなさい。」
謝ることしかできなくて...
やっぱり情けない私。
目の前のことに立ち向かう事が苦手で逃げ出してばかり...
そんな私を追いかけてくれたのはなぜ?
「とにかくそのまま帰すわけにはいかない。私の部屋に戻ろう。」
三成の部屋には彼女がいるじゃない。
彼女にも悪いから私のことは放っておいて欲しい。
「いいえ、大丈夫です。」
「そういうわけにもいかない。涙のわけも聞かねば帰すわけにはいかないぞ。」
グイグイと強い力で引っ張られて私は三成の部屋まで連れてこられた。


