ウキウキとした気持ちのままゆきさんに近寄った私はジロリと鋭く射す様な視線を感じたんだ。
背中が急に冷たくなるほど私を睨みつけている人の表情は凍り付いて見えた。
「紫衣、今日は殿に朝餉を運んでおくれ。」
きっと私が彼女を気にしているのをわかっているはずなのに、ゆきさんは何も気付いていない振りで私に言葉を掛けた。
気にならないわけがない、背中に感じる射すような視線。
凍りつくような冷気さえ感じる。
「あの...ゆきさん....。」
「なんだい紫衣。」
「その...朝餉は本当に私が運ぶんですか?」
「何を言ってるんだい。殿直々のご使命なんだ。紫衣が行かなくて誰が行くんだい?」
強い口調で言い放つゆきさんに私は何も言えなかった。
私の後姿をずっと睨みつけるようにして見ている彼女が誰なのかもわからない。
今日までずっと見かけたことのない人なんだ。
殿の、三成の側にずっと仕えてきた人なのだろうか。
とても綺麗な人。
そしてとても冷たい印象の人だった。
「さぁ、紫衣は私の言う通りの仕事をしてくれたらいいんだよ。ここでの責任者は私なんだからね!グズグズしてないで早く行っておいで!」


