俯く私に向けられるのはたくさんの視線。
逃げちゃダメ!!
私は自分を奮い立たせて顔を上げた。
「あの......ごめんなさい。」
涙を堪えて頭を下げた。
「どうして紫衣が謝るんだい??」
「すまなかった。」
私の言葉に被せるようにゆきさんと正澄様の声が同時に耳に入ってきた。
「どうして?私が悪いんです。何も知らなかったとはいえ本当に申し訳ありませんでした。」
深々と頭を下げると私の手を取ってゆきさんはニッコリと微笑んでくれた。
そしてその後ゆきさんは正澄様を睨みつけ、みんなの見ている前で正澄様の頬を思いっきり引っ叩いたんだ。
バチーンッッと響き渡る音とウッ!!という正澄様の苦しそうな声に私と左近さん、朱里さんは体を固くなった。
そんな中余裕の笑みを浮かべて呟いたのは三成だった。
「相変わらずですね、姉上。」
「三成からも何とか言ってくれ。」
三成に助けを求める正澄様に三成は「無理です!!」ときっぱり言い放ち大きな笑い声を立てたんだ。
私たち三人はその様子をただ黙って見守っていた。
というよりは唖然として見ていただけだった。