瞳を開けると一番に映ったのは彼の心配そうな顔。
陶器のような肌に指を伸ばした。
「気分はどうだ?」
ひんやりとした彼の掌が額に触れて心地よさに目を閉じた。
「本当に紫衣なのか...信じられない。俺は狐に化かされているのではないのか?」
初めてこの姿になった日の朝、朱里さんも同じ事を言った。
クスクスと笑う私の頬を軽く撫でて彼は不貞腐れたような声を出したんだ。
「何がおかしい。やっぱり狐なのか?」
可愛い彼の一面に初めて触れて私の笑いは止まらなかった。
「笑うな!!」
どうにも笑いはおさまらなかった。
そんな私に彼の唇が私の唇を塞いだんだ。
「ふん、あんまり馬鹿にするからその口塞いでやった。」
偉そうな口調に似合わない真っ赤な頬。
愛しいと溢れ出る気持ちにブレーキはもうきかない。
「好き、あなたが好きなの...。」
涙が瞳から溢れてもう何も見えない。
彼の姿をもっと見ていたいのに私の瞳は何も映さない。
ただ彼の手をギュッと握りしめてぬくもりを感じていた。


