「紫衣と....。」
閉じていた瞳を開けると困惑した三成の顔。
「名は紫衣というのか?」
三成は正澄様から刀を奪い取り私の近くに腰を下ろした。
「はい。」
5歳の私と逢った三成。
信じられないような表情の三成。
「これを...。」
彼は懐の中から瓶に詰められた金平糖を私に差し出した。
「金平糖、それほど珍しいものではございません。」
溢れる涙を止めるすべを知らない。
震える声を、体を止めるすべを知らない。
「どういうことだ三成。」
私と三成のやり取りに入ってきた正澄様は険しい表情をしていた。
「兄上、これは私のものです。」
彼の腕の中で張り詰めた心の糸がプッツリと音を立てて切れた。
意識を手放す瞬間に私は彼の声を聞いたんだ。
兄上であっても譲れません。


