だけど気をつけなきゃ。
もう二度とわからないままに問題をおこしたくはないもの。
「明日から正澄様のお部屋には私が行くから心配しなくていいよ。」
そう言って朱里さんは微笑んでくれた。
その日から毎日朱里さんが正澄様のお部屋に向かい、体調を崩した私が正澄様のお側に仕えることは正澄様の迷惑になると考えて、なかったことにして欲しいと思っていると嘘までついてくれた。
本当に申し訳ない。
だけど、それでも正澄様は迷っているのなら元気になってから返事を聞かせてくれればいいと言ってくれたそうだ。
だから絶対に逢っちゃいけない。
逢っちゃいけないんだ。
なのに今日のミス.....。
赤ちゃんを産んですぐに仕事場に戻ってきた元気なゆきさん。
そのゆきさんに心配かけられない。
朱里さんは左近さんの部屋に、私は正澄様のお部屋に向わなければならない。
どうしようなんて考える暇もなかった。
行くしかない!!
行って正直な気持ちを打ち明けるしかない。
それしか私には出来ないんだ。
元々知らなかったとはいえ私が蒔いた種。
一生懸命朱里さんが刈り取ろうとしてくれたけど自分で刈れと言われているような気がしたんだ。
「失礼します。」
正澄様のお部屋の襖越しに声を掛けて返事を待った。


