ゆきさんにはもうすぐ赤ちゃんが生まれる。
大きなお腹で一生懸命働いてきたゆきさん。
そんなゆきさんの気持ちを乱すことなんて出来ない。
「ゆきさんには言わないよ。
このことは私と紫衣の二人だけの胸にしまっておくんだ。
左近様にも言ってはいけないよ。
今は左近様も大変な時、余計な心配はかけられないからね。」
それから朱里さんとこれからの事を話した。
正澄様のところには絶対に行かないように気をつけること。
正澄様には私は体調を崩して仕事を休んでいると伝えるということ。
たった一つの約束事を私に提示して朱里さんは微笑んだ。
「紫衣のことを正澄様は幸いなことに何も知らないんだよ。
左近様の養女になっていることも何も...。
だから紫衣から正澄様の方に出向かない限り正澄様と会う事はないだろう。
正澄様はご自分の屋敷を出ることは滅多とないお方だからね。」
だから安心おしと笑って話してくれる。
それにしてもよくわからない...。
正澄様が顎を指でさすって思案していた時笑いかけたことがこんな一大事になるなんて全くもってわからない。
考え事している素振りは男性が女性を誘うためのポーズでそれに笑いかけることで了承したという合図になるなんて...。
わかりにくすぎるよ!!


