正澄様に初めてあった日の夜、朱理さんが私の部屋に飛び込むように入ってきた。
「紫衣、あんたなんてことしたんだい?!」
布団の上に座って本を読む私を突き飛ばす勢いで転がり込む朱理さんに私はなすすべもなく布団の上に組み敷かれた。
「どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたもないよ!!」
朱理さんの珍しく怒りを含んだ声に私は何も言えなくなった。
固まる私の手を引いて起きあがらせてくれる朱理さん。
だけど朱理さんは困ったように大きな溜息を吐き出す。
なにかとんでもないことをしちゃったのかもしれない。
不安に押しつぶされそうになる胸。
ジワジワと込み上げる涙。
「朱理さん…。」
一文字に固く結ばれた唇を頑張って開いても出てくるのは彼女の名前だけだった。


