準備を終えてすぐにかかった石野さんからの電話。


もう家の前にいると言われた私は解りましたと返事をして電話を切った。



「いってらっしゃいーー!」



ヒラヒラと手を振りながら芽衣ちゃんに送り出されて渋々部屋を後にした。



ドキドキと大きな音を立てる心臓に余計にドキドキさせられる。



マンションのエントランスから見える石野さんの車。



好きって気持ちが溢れてくる。



車のドアの前に立って煙草を吸っている石野さん。




心臓の音はピークに達していた。








「こんにちわ。」



エントランスを出て石野さんと目が合ってすぐに私が言った言葉は挨拶の言葉だった。


気の利いた言葉を言えない自分がとてももどかしく、そして情けない。




「昨日はたくさん連れまわしてごめんな。今日はゆっくり過ごそうな。」



頭をポンポンと撫でながら話しかけてくれる石野さんに私もコクリと頷いて返事をした。



「さぁ、乗って。」



ドアを開けてくれる石野さんに頭を下げて車に乗り込んだ。



そして石野さんも運転席に乗り込んで車は発進したんだ。