「紫衣、昨日の夜ちゃんと石野さんにお礼のメール打ったんでしょうね。」
叫んだ後の芽衣ちゃんの言葉に私は顔を上げてから首を左右に振った。
「なにしてるのよ!!ちゃんと捕まえてないと石野さんみたいな素敵な人誰かに取られちゃっても知らないよ!!彼を狙ってる女の子多いんだから...。それより次の約束は?
したの?誘った?誘われた?」
矢継ぎ早に質問が芽衣ちゃんからかかる。
キョトンとする私の携帯を芽衣ちゃんは部屋から持ち出すと勝手に操作し始めた。
「キャーッ!」
そしてまた芽衣ちゃんの黄色い悲鳴が上がった。
芽衣ちゃんは頬を染めたまま携帯の画面を私の目の前に突きつけるようにして差し出したんだ。
昨日は楽しかったよ。
ずっと紫衣を閉じ込めて誰の目にも触れさせたくない。
あの言葉は本当だよ。
また逢いたい。
明日の昼、迎えに行くよ。
携帯の画面には石野さんからのメールの内容が表示されていた。
「読んだ?」
「読んだよ。」
「芽衣ちゃん勝手に酷いよ。」
「ごめんね?でも石野さんってこんな情熱的な人だったんだ意外だー。」
本当に悪いなんて絶対に思ってないはず。
その証拠に芽衣ちゃんは私の携帯を奪って早業で操作し始めた。
「これでよしっと。」
そう言って携帯を私の手に持たせると部屋に向って手を引いて移動した。
「さぁ早く準備しなきゃ石野さん来ちゃうよ。」
クローゼットを開けて服を選ぶ芽衣ちゃんの背中に私は声を掛けた。
今の展開に全くついていけてない私の頭は尋ねることで精一杯。
携帯を確認することも忘れていた。