「泣かないでおくれ。
そんな紫衣だから合格なんだよ。
身分なんかじゃない、人間を見ることが出来る女しかここでは働く場所がないんだ。」
「合格?」
「そうさ、紫衣の言う‘好き’がわかってる女だけが残るんだよ。
ハラむことを目的にする女なんて一人もいない。そんな場所なんだよ。」
それからゆきさんは働いている人を紹介してくれた。
まずゆきさんは三成の義理のお姉さんだと教えてくれた。
驚いたけど次々に紹介され驚く暇も与えてもらえなかった。
大体が三成の側近の妻や娘、後は朱理さんのように愛する人の決まっている女の人ばかりだった。
「さぁ、仕事だよ!!」
一通り紹介を終えてゆきさんの喝の入った声が部屋に響いた。
「紫衣はまずはそこに山積みになっている器を洗うことから始めてもらおうか。」
私の肩をポンと叩きながらゆきさんの指差す方向には山積みの食器。
「はいッッ!」
「ゆきさん、初っぱなから紫衣にそんなキツい仕事させなくてもいいじゃないか。」
私の返事と重なるようにして朱理さんはゆきさんに話しかけた。
「最初はみんな片付けから始めるんだ。
いくら朱理が連れてきた姫さんでも同じ事をしてもらうよ。」
ゆきさんは朱理さんをたしなめるように言って、他の人にも指示を飛ばした。


