「姫さんの覚悟はわかったよ。
私はゆき。」
その人は困ったような表情を浮かべて私に手を差し伸べた。
「ゆき…さん?」
「そう。ゆき…
寒い雪の降る日に生まれたから雪。」
戸惑いながらゆきさんの手に自分の手を重ねて尋ねる私にゆきさんはとても優しい笑顔で話してくれた。
「合格だね!」
私とゆきさんの重なった手の上に朱理さんの手ものせられた。
「紫衣です。姫さんじゃありません。」
「悪かったよ。
私だって好きで意地悪してるわけじゃないんだよ。困ったねぇ…
朱理からも説明しておくれよ。」
両手を上げてバンザイのポーズを取ったゆきさんはクスクスと笑っている朱理さんに話しかけた。
「ここにはたくさんの武家の娘さんが仕事をさせて欲しいと言ってくるんですよ。
だけど続く人はいない。」
「どうしてですか?」
「目的は働く事じゃないからだよ。」
「??」
わけのわからない朱理さんの言葉に首を傾げる私。
そんな私にゆきさんが丁寧に説明をしてくれた。


