私の心を解っていたかのように助けてくれたのはやっぱり朱里さんだった。
「それだと紫衣は私や左近様に気を使って屋敷を出たいとなかなか言えないでしょう。
左近様さえ良ければ当分紫衣には私の仕事の手伝いをしてもらおうと思うんですけど..。
よろしいですよね?」
「それは...。」
「よろしいですね?!」
「わかった...朱里に頼むとする。」
朱里さんの強引な話の進め方に左近さんが折れる形で成立した話。
私は二人のやり取りをハラハラしながら見ていることしか出来なかった。
「よかったね。紫衣。
左近様も許してくださった。今日から私について仕事をしてもらうよ。」
力強い朱里さんの声。
私は大きく頷いた後返事をした。
「はい。よろしくお願いします。」
「やれやれ、どんなに大切に育てても、父親とはこんなに寂しいものなのか?」
私と朱里さんのやり取りを見ながら左近さんは大きな溜息を零しながら話した。
「ごめんなさい。左近さん。」
謝る私の頭に降ってくる左近さんの大きな掌。
ポンポンと何度も私の頭に掌があたる、その重みが好き。
安心できる左近さんの手。
「紫衣は守られるだけの姫ではないのだな。
閉じ込めていたのは俺だ。だが自由に羽ばたいてみろ。紫衣の思うように生きてみろ。
世界を渡ってきたのだから紫衣は紫衣らしく生きればいい。
だが、心配だけはさせてくれよ?俺は紫衣の父親なのだから...。」
頭の上の掌が私の頬を覆い優しいぬくもりに包まれる。
「はい。」
私は笑顔で応えた。
無理やり納得してくれたのではない。
そう思っていいよね?
本当の親子ではないけど私の大切なお父さん。
私もあなたが誇れるような娘になりたい。


