勝利の女神になりたいのッ!~第1部~



消えてしまいそうだった。


紫衣の姿がそのまま紫衣の瞳に映す世界に吸い込まれるんじゃないかって不安になるほど紫衣の瞳はこの世界を映していない、そんな気がしたんだ。



「こんな私にも恋人がいたんですよ?」


フフッと静かな笑い声が懐かしんでいるのか悲しんでいるのかわからなかった。



「逢いたいのかい?」


「ここに来る前にはお別れしていました。だから寂しい独り者です。そんな時は私の住んでいた世界では彼氏募集中とか言って合コンとかするんですよ。カラオケに行ったり、ファミレスでたくさんお喋りしたりとか...。懐かしいです。」



こんな話わかりませんよね?


最後の言葉はとても寂しそうだった。




「紫衣は帰りたいのかい?」


「いいえ...でも見たいんです。」


意志の強さを見せる瞳の輝き。


ただ儚いだけではない紫衣の強さ。


やはり魅力的な紫衣。



紫衣との会話の間にも私はこの少女に魅了されていく。




「何を?」


「今日、私をここに導いた少女の夢を見たんです。元いた私の世界で彼女は素敵な男性と恋をしていました。でも最後に彼女の声を聞いたんです。ごめんなさいって悲痛の声で謝ってた。彼女はもしかして私をここに連れてきたのを、入れ替わったことを後悔してるんじゃないかって心配なんです。私はここで頑張るから彼女にもむこうで幸せになってもらいたい。だから見たいんです。今の彼女を...。だけど見ることは出来ない。」


とっても気にかかるんです。



俯いてしまった紫衣。


彼女の美しさは純粋さゆえ...

魅了されてやまないのは儚さの中に見える凛とした強さ。




「夢でまた逢えるかもしれませんよ。強く願っていればきっと願いは叶うものです。」





紫衣の瞳を真っ直ぐに見ながら応える私に紫衣はニッコリと笑った。


安心した紫衣の笑顔は儚い印象の紫衣を華やかな大輪の華にした。