だけどそれは大きな勘違いだった。
「お父さんみたい。」
紫衣の言葉にガックリと肩を落とす左近様。
やっぱり危なかった...。
本当に目が離せないんだから!!
だけど安心した。
純粋な紫衣。
あなたはこれからその美しい姿を殿に愛してもらいなさい。
殿の隣に並ぶ紫衣はきっとその美しさで周りの人も魅了できるはず。
「寂しくて...。」
本当に紫衣は寂しいのだろう。
誰も知らない、何もわからない、ここにきてもよく頑張っている。
私がずっと教えてきたこともすぐに覚える紫衣。
もう教えることは何もない。
後は殿のお帰りを待つだけ。
「あの、朱里さん。恋人ってわかりますか?」
「恋人?」
「はい。」
「.......。」
考え込む私に紫衣はニッコリと笑みを浮かべて言った。
「左近さんは朱里さんの恋人、朱里さんは左近さんの恋人。」
両手の人差し指を立ててくっつけたまま紫衣は微笑んでいる。
だけどその目はとても遠くを見ているようだった。
「何を見てるんだい?紫衣の瞳には何が映っているんだい?」


