ギュッと力強い腕が私の体を包み込む、石野さんの鼓動が私の耳に届いている。
抱きしめられた私は半ば放心状態で何も言えなくなった。
「運命の人は俺じゃないのか?」
石野さんの胸を通して聞こえてくる声。
苦しそうな、とても低い声だった。
「運命の人に逢ってません。もう逢いたいと思えない、だって.....石野さんと出逢ったから、石野さんが好きだから....。」
私は石野さんの胸に話しかけた。
振り絞った勇気、振り絞った声はとても小さく届いたのかどうかわからない。
だけど私の言葉の後大きく息を吐き出した石野さんは私の肩に両手を添えて引き離すと私の目を見て話してくれた。
「紫衣に先を越されるとはな。」
ポツリと零すように言った石野さんは私をもう一度引き寄せ、その腕に閉じ込めると
「好きだ...。」
言葉を繋げてくれた。


