目の前に広がる牧場。
「ちょっと寄り道していくか…。」
独り言のように呟いた石野さんは駐車場で車を止めてサッサとおりてしまった。
石野さんを追いかけるように車をおり、彼の数歩後ろを歩く私に聞こえるのは石野さんの溜息。
その音を聞く度込み上げる涙を押し込めるのに必死だった。
腕時計を確認し、溜息を吐き出す。
何度も繰り返される、その行動に私の心には寂しさが募っていた。
歩幅の違いから気を抜くと彼と私の距離は大きくなる。
だけど私は彼に必死について歩く速度を保てなかった。
彼の溜息をもうこれ以上聞きたくなかったんだ。
次第に広がる二人の距離
その距離に気付くことなく繰り返される時間確認と溜息。
私の心の中で寂しさは怒りに変わっていった。


