「車に乗れ。」
景色を見る私の後ろから石野さんの声が聞こえた。
泣き顔を見せたくない私は振り返ることが出来なかった。
そして焦る私の耳に届いたのは遠ざかる足音。
ハンカチで目元を押さえてから私は車に戻った。
「あの…ごめんなさい…………」
「別にいい。」
勝手に外に出て?
お待たせして?
ごめんなさいの後の言葉を考えてる間に石野さんの言葉にバッサリと切られた。
車内は変わらず沈黙が続き、エンジン音が聞こえるだけだった。
会話が続かないのは嫌いじゃない。
むしろ、嶋田さんのように終始話しかけてくれる人の方が苦手だ。
まだまだ時代についていけない私には嶋田さんの話のテンポについていくのは難しいんだ。
だから沈黙は嫌いじゃない。
だけど…
溜息の音は寂しいよ。


