「紫衣、緊張しているのか?」
私の頭を撫でながら左近さんは優しく尋ねてくれた。
緊張しないわけがない。
城の城主である三成と逢うというよりは、ずっと書物の中の三成に恋をしてきた私が生きた三成に逢う事にまだ思考がついていってない。
「殿は気難しいところもおありだがお優しい方なのだ。
だから心配することは何もない。
紫衣は紫衣のままでいればきっと殿も気に入ってくださるに違いない。」
一生懸命話しかけてくれる左近さんの言葉も半分は頭の中を通り過ぎていく。
急な展開に私の思考はストップしてしまった。
「着物も良く似合っているぞ。」
さぁ、殿がお待ちだ。
左近さんに手を握られ立つように促された。
私は何も考えられないまま左近さんに誘導されるがまま部屋を出て廊下を歩いていた。


