「俺は紫衣に何から助けてほしいって言ったんだ?」
そんな意地悪な私の言葉にお兄ちゃんも合わせてくれるように言葉を掛けてきた。
「遣り残したことがあるっておにいちゃんは言ったのよ。」
「おいおい、それでは俺が死んでいるみたいじゃないか。」
私は意地悪だ。
こんな話をするつもりはなかった。
だけど知っていて欲しかったのかもしれない。
お兄ちゃんは決して幸せではなかったと...。
その為に紫衣と私がお兄ちゃんの力になるのだということを知っていて欲しかったのかもしれない。
「そうだよ。お兄ちゃんが死んでから紫衣はおにいちゃんに逢ったんだもの。」
変な子供だと思ってくれてもいい。
全てを話してしまいたかった。
死んでも苦しみの中にいたお兄ちゃん。
過ちを繰り返して欲しくない。
今からはちゃんと私たちがお兄ちゃんを助けるから覚えていて欲しかった。
「紫衣は死んだ俺に逢ったのか。俺は幸せではなかったのだな。」
俯き苦しそうに顔を歪めるお兄ちゃんの姿を見て私の胸はズキズキと痛んだ。
助けるために私がいるのに...
お兄ちゃんを幸せする為に紫衣を連れてこなければいけないのに...
その方法すら解らない。
「お兄ちゃんは紫衣が助けるの。紫衣の大好きなお兄ちゃんだもの、絶対に助けるの!」
焦る気持ちを抑えきることができなかった。
私は叫ぶようにしてお兄ちゃんに声を掛けてから背を向けて走り出した。
戻ってみよう。
私がお兄ちゃんに導かれた始まりの場所に....。


