まずは私の生きた時代に私の存在を作らなければいけない。
私は橋の下に見える世界に目を落とした。
水害で荒れた台地が見える。
私が川の真ん中の大きな岩に引っかかっているのが見える。
思い切って私は橋の上から私の体めがけて飛び降りた。
落ちるという感覚ではなく私の体はフワリと浮いているような感覚に包まれた。
硬く閉じていた目を開き川の様子を見ていると私の体は私がたどり着く前に流されてしまった。
戻る体をなくしてしまった。
唖然としたまま動けず私は私の体を見送ることしか出来なかった。
「どうしよう。」
途方にくれる私に小さな少女が歩み寄ってきてくれた。
「お姉ちゃん一緒に行こう?」
着物の裾を小さな手で一生懸命引っ張る少女。
彼女も旅立つ人なのだろうか。
「私は戻ってきたの。」
「どうして?」
「大切な役目があるからよ。」
「そう、私はお父さんとお母さんを探しに行くね。」
そういい残して少女は空に向って体がフワリと浮いていった。
「橋の向こうに渡るんだよ。」
私は少女の体に向って声を掛けたんだ。
少女の両親もきっと橋の向こうの洞窟に入ったはずだ。
死んでしまった人の行くべき場所。
私はこれからどうすればいいのか。
お兄ちゃんの為に頑張ると誓ったのに体を失ってしまった。


