あの女の子はきっとお兄ちゃんの待ち続けている人に間違いない。


どうしてそんな風に思ったのかわからないけど、私には確信めいたものがあった。


「夢?」


「そう、夢。」


話そうと思ったのに何から話していいのか急に頭の中がグチャグチャをなって整理するため私は黙り込んでしまった。


一旦途切れてしまった会話を戻すのは頭の整理を余計に困難にしてしまって、私は整理のつかないまま思いつくまま話し出した。


「あのね、四角い不思議な道具に女の人が声を掛けていたの。」


「………。」


私の口から飛び出したのは、もしかして一番必要のない部分かもしれない。


上手く話せない上に唐突に訳のわからない物の話をする自分の間の悪さに私の頭は益々混乱していた。


「綺麗な四角い道具だったよ。なんだか見たことのない物で光沢があったの。それを耳に当てて言葉をかけていたの。
それにね、つまみを回すと火がつく台とかね。
なんだか見たことがないものがたくさんあったの。」


話しながらも、きっとお兄ちゃんには伝わってない。
そう思ったのは、お兄ちゃんは綺麗な顔を少し歪めて考え込んでいた。



「ごめんなさい…。」