「紫衣、俺は長い時の中でお前を待っていたのかもしれない。」
規則正しく上下する肩を抱き寄せて話しかけた。
スヤスヤと気持ちよさそうに寝息をたてながら紫衣は眠っている。
安心しきった紫衣の寝顔は見ているだけで俺の心を柔らかくほぐしてくれる。
今、お前とここで出逢ったことで俺は僅かな希望を持つことが出来た。
やり直せるかもしれない。
もう一度、やり直せるかもしれない。
フツフツと湧き上がる希望。
しかし俺が光の中に戻るには紫衣を犠牲にせねばならない。
俺を慕い、俺のために涙を流してくれる心優しき娘が影に包まれることになる。
愛おしい…。
紫衣を想う感情が俺に決断を鈍らせる。
だが、これでいいのかもしれない。
この、人を想う心を無くしては俺はまた過ちを犯した俺と同じになってしまうのだろう…。


