逃げ道なし!

朝五時に目の覚めた本間は、顔を洗い着替え終えると外へ飛び出した。

まだ薄暗い、本来なら眠っているだろう時間だったろう。


本間は走り始めた。

決勝進出を逃した悔しさから、昨日はほとんど眠る事ができなかった。


次の大会は半年先だったが、本間にはあの"一メートルの壁"を越える事ができる気がしなかった。


本間がハンマーを投げる瞬間に何か大きな力が本間を抑えつけていたような気がしたからだ。



それがわからないと、本間にはどんなにトレーニングをしても無駄な気がしていた。



そんな気持ちを抱く本間をよそに、朝日は昇っていく。



そんな光景を見てると、"希望"を感じさせてくれるのだった。






「お〜い!本間!」


その朝の通学途中、駅で本間を呼び止める者がいた。