香苗は学校の門についた頃・・・・もう3時限目がはじまろうとしていた。



香苗はカバンを見て、思い出した。



朝、学校へ行く前、ホテルで目を覚ました後・・・・・・テーブルの上の札を数えた。


いつもより一枚多い札に、ヨッシャと小さなガッツポーズをしたことを。



「香苗ついてるぅー☆☆
おじさんアリガトー!」

香苗は思い出してまた、嬉しくなった。


香苗は医者になりたかった。


高1の頃から援助交際を始めた。


香苗の親は小学生の頃、香苗を残して、どっかへいなくなった。


まったく"謎"だった。


そして、香苗は父の義理の弟に引き取られたのだ。


父の義弟を・・・・・・"おじちゃんは優しい人"と・・・・・・香苗は実の父のように思っていた。


それにおじちゃんの二人の子供にとって、香苗は母親のような存在になっていた。


毎日、おじちゃんに貰う少ない額で、香苗は夕食を任されていた。


おじちゃんの奥さんは、香苗が引き取られてすぐ、小さい子供を残して病死してしまったからだ。

おじちゃんの会社が上手くいってないことも香苗は知っていたから、大学の費用まで、頼るわけにもいかなったのだ。