神谷は、背中を掴む、気持ちの悪い手を、振りほどくのに必死だった。



"ヌメエッヌメエ"



皮膚に油のようなものを纏うその"手"で、滑ってしまい・・・・・・・・・・・神谷はうまく振りほどけない。



"ダメだ・・・・・力がはいらない・・・・・・・"





「オイっ神谷ぁ!待てっろよ〜う。今・・・・・・・・・・先生がそっちにむかうからなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」





菅原の声もいつもと、違っている。




神谷は、学ランを脱ぎ捨てた。





そして、走った。





ひたすらに走った。





学ランを掴んだ手は、学ランを振り回して、天井にぶつけたりしている。




神谷は、廊下の先に見えるカドに向かって走りながら・・・・・・・一度、後ろを振り返った。




まだ・・・・・・菅原の姿は見えない。



"チキショウ、何なんだよっ!"




"Riiiiiiiiiiin'"





警報は・・・・・・・・・・・・警告ではなく・・・・・・・・・・・・・これから訪れる"悲劇へのファンファーレ"・・・・・・・・・・・・なのかもしれない。





"Riiiiiiiiiiiin'"