「どこまででしたっけ?でも、部長、さっき言ってなかった事があるんです。ちょっと、その話をさせてもらっていいですか?」
「言ってなかった事?どんな事だ?言ってみろ。」
「部長は、加藤の彼女って見た事あります?」
「いや、ないが・・・。」
「僕は・・・加藤の彼女を見た事があるんです。」
「で、それがどうかしたのか?」
部長は不思議そうな顔で、僕の事を見た。
「それも、毎朝見ているんです。」
「毎朝?なんで、お前が毎日加藤の彼女に会っているんだ?」
「会っている訳じゃありません。見ているんです。」
なんでだろう。僕は少し意地悪くなっていた。
「こらっ、大河内。何が言いたいんだ。ハッキリ言え。」
短気な部長が、顔を覗かせた。
「あ、すみません。でも、彼女に聞けば、何かわかる気がするんですよ。毎朝、会うわけだし、それとなく聞く事くらい出来ると思うんですよ。」
部長は何かに気がついた。
「だったら、何で今日聞かなかった?」
「そ、それは・・・。」
僕は今朝あった事を、そのまま伝えた。
「また、恵か・・・。はぁ、あいつはどうにかならんのか・・・。」
「と言う事で、明日からちょっと彼女の事、張ってみたいと思います。遅刻しても許して下さいね。」