「ほんと!?」
大きな瞳をぱちぱちとさせて、すばるは笑顔を咲かせた。
その手をとるミユキはにっこりと笑みをたたえ、ぎゅっと力を込めた。
「コレとは、ちょっと違うけどね」
手のひらで巻いた毛先をぽふぽふといじりながら、首を傾げるすばるにミユキの中で起きた熱は上がっていく。
咄嗟に立ち上がり、一番近くの商品棚に手を伸ばした。
木製の壁に取り付けられた白い棚に並ぶ衣服をごっそりと手にすると、それを店の中央に置かれた机の上に無造作に置いてみせる。
「ミユキさんは、魔法使いなの?」
すばるの言葉に、ミユキは何着か服を広げながら自信有りげに笑った。
「まーね、一応」
そして、言葉を失っていた原が我に返ってミユキを呼ぶ頃には、今やすばるは、あーでもないこーでもないと唸るミユキに何着もの衣服を合わせられていた。
「ミユキっ…!」
ピンク色のワンピースとショート丈の紅茶色をしたサロペット。
積み上げられた衣服の山の上で、すばるが身につけたことも無いような洋服を着せられてゆき、最後の悩みどころでミユキは押し黙って返事を返さなかった。
「なあ、ミユキっ」
そして、ミユキが最後に選んだワンピースを持ってすばるが試着室に消える。
「なあっ…!ミユキ、お前」
どうしたんだよ、と言おうとして原はそれを止めた。ミユキがその場で崩れるようにしゃがみこみ、助け起こそうとした原の手をぱちりと力無く払いながら口を開く。
「───お金、いらないから。」
俯き重ねた両腕に顔を埋めて、ミユキは震える。くぐもった声。


