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「魔法みたい」。
すばるの言葉に勢いよく顔を上げると、ゆるくパーマのかかった髪がひらりと舞う。その動作主───沢本ミユキは思わず原の名を呼んだ。
「伸吾っ…」
すばるの白い艶やかな肌は、まるで手を加えていない雪原のようだ。
確か、歳は十六。
歳のわりに幼く見えるが、魅力的な顔立ちと整った体つき。容姿は酷くない、むしろその逆。
だけど、特別見た目にこだわる様子もどこにもない。
すばるはミユキの髪を「魔法」だと言った。
……これ、魔法じゃないよ。
喉もとまで出かかった魔法の真相が、ミユキの言葉になって放たれることはなかった。
「普通の女の子」ならば、知っていること。
可愛くなる為に向かう場所で、可愛くなる為に髪に熱を加え、整えること。
「くるくる、すごく可愛い…!」
───パーマを知らないんだ、この子。
ぐっと奥歯を噛んで「仕方ねえ」と抑えたフリをする原伸吾のその顔に、ミユキはじわじわと込み上げる何かを奮わせて口を開いた。
「かけてあげるよ、魔法。」


