一応は政府の機関である為、特務隊の頂点に君臨するのは内閣の防衛大臣。

特務隊やその他戦闘に特化した諸機関の者は、大臣のことを総司令官、「総司令」と呼ぶ。



芹沢吉次という名の男が防衛大臣に……つまり、総司令となって、長い長い時間が経っていた。




しかし、特務隊はその名に冠する通り「特殊」だ。

芹沢防衛大臣の傘下に属してはいるが、特務隊は他の機関に比べて自治性が高い。

緊急時における軍事行動のフットワークを軽くするためではあるが、政治家の中にも市民の中にも、この特務隊を「暴発しかねない」と危険視する者は存在する。

少数派ではあったが。



特務隊を腫れ物のように扱う者は「偽物の安全性」に浸かってる。

盾を持ってないからアレは撃ってはいけない……なんて、凶悪犯にそんな道理は通じない───


特務隊の長は言った。


まだ若い、と罵声を浴びることもある。しかし、その采配はことごとく最高の結果を生み出してきた。

その腕で、理不尽に引きずりおろそうと躍起になる者たちを黙らせているのだ。






芹沢の下、特務隊の頂点

長官・御堂香織は、弱冠26歳の見目麗しい女性であった。