誰かが泣いてる。

誰かの名前を呼びながら、誰かが泣いてる。

茶色い髪の女の人。
……どうしてあんなに哀しそうなんだろう?


その人の前には、もう1人女の人がいる。



まるで、機械みたい。



服も着ずに固まったまま動かない。

女の人は、この人を呼んでいるの?


名前を呼ぶ声が、だんだんと遠くなる。
泣いていた女の人が、薄くなって消えていく。






そして、動かなかった女の人があたしの方を向いた。まるで操り人形が動き出したみたいだ、と思う。




でも、とても綺麗なひと。
透き通った瞳。




「すばる」



そう、それがあたしの名前。

澄み切ったこえ。


───あたしの名前?




「あたしを、知ってるの?」


あたしも声を出せたことに、今更気付く。
それなら、消えていった女の人にも泣いていた理由を聞けば良かった。