安原が小さく微笑む。 「お前にはどれだけ論じても理解できない事を、皆瀬は感覚でわかっているさ」 そしてまた、歩を進める。 「それを感じる心が“正義”だ…春樹レイ」 一歩一歩踏みしめながら、安原葵は戦場を歩く。 腕の中に小さな部下を抱きしめながら、戦場を歩く。 優しい振動と、確かな鼓動。 真っ白な世界に放り出される感覚を覚えていた皆瀬すばるは、ゆっくりと灰色の世界へと帰還し、しっかりと、その目を閉じた。 戦場に残ったモノは 数多の人間と、 少し型の古い散弾銃だけ。