ぱちぱち。


ぱちぱちぱち。



白いスーツの男が、芝居がかった拍手をしながらすばるを見下ろした。

「………」

ただ、そちら側に目線を移すすばるに表情は無い。男の能力を計りかねて、じっとその動作に精神を研ぎ澄ませていた。


逆に白いスーツは薄く笑みを浮かべ、高い位置からすばるの側へ、かなりの高低差をものともせずにふわりと飛び降りた。


「……〜っ!!」


すばるがじりじりと後退りしながら睨み付ける。

ただの戦闘員で無ければ頭でっかちの指揮官でもない、実力を伴ったその運動能力をまざまざと見せつけられた。

近くで見ると、思ったよりも相手は幼い。

栗色の髪と同じ色の瞳…16〜17歳くらいだろうか。



そんなすばるの視線に気付いた青年が口を開いた。


「そんな怖い顔しないで下さいよ、ね?」


わざとらしく下がる眉にすばるがまた怪訝そうな表情を浮かべる。
それを見た青年は軽く肩をすくめてすばるに向き直った。