同じ頃、国家中央特務軍事施設《トリカゴ》内……長官室に陸上機動隊・原伸吾はいた。


「出動要請……っスか」


「……そーよ、原伸吾陸機隊長」


特務機動隊をまとめる長官である御堂香織は苦笑を浮かべながら言う。

「その呼び方やめてくんね?」

ちらりと言う原の表情もまた、曇った。





国家からの要請、と言えば聞こえは良いのだが。
また国は事後対応を取っている。


テロリストによる攻撃は日々勢いを増し、当初は軍事基地や政府要人の弁論会などにしか狙いをつけて来なかった場所が危険にさらされはじめていた。


一般市民も巻き込まれているというのに、一体何を躊躇っている暇があるんだ。

原は舌打ちをうってため息をつく。
要請の遅れのせいで当然、戦局は悪い。