すばるが何も言わずにうなずいて、そっと右腿に手を伸ばした。

無機質な音を鳴らして、ピストルのグリップの部分に弾薬をはめ込む。


その瞳にもはや輝きは無い。淀みなく兵器の整備に勤しむ…それだけ。

そして、この少女にはじめて銃を握らせたのは、他でもない、自分だった。



安原は鉛色の空を仰ぐ。






「…隊長?」

心配そうな表情で呼ぶすばるに柔らかく微笑んで、安原は息をついた。
余計なものが溶けだしたような、小さな息。



「……行くぞ」



安原の瞳から色が消える。