「空に、行かないでくださいっ…!」 安原はゆっくりと視線を下げ、己の手の甲に増えた生傷をじっと見た。すばるの視界から外そうと、無意識にその手を下げてみる。 決して広いとは言いがたい部屋に、すばるのすすり泣きだけが響いていた。 「聞け、皆瀬」 少し時間をおいて、安原は言った。その言葉に、すばるがこぼれる涙を拭って顔を上げようとする。 「…そのままで良い」 カップに入った紅茶を一気に飲み干し、安原が続けた。 「俺はな、心配性なんだ」 唐突に言い放って、小さく笑う安原。