「こんっの、馬鹿!!」
「はうあっ!ごめんなさいい!!」


鈍い音が部屋に響く。


「痛いですっ!!」

女性は深い深い溜息をつくと、頭をさする少女へと視線を戻した。



「アンタ、いつかホントに死ぬわよ!?」

「うー…それは嫌ですー」
まだぼんやりとした痛みが残る頭に手をあてながら、少女はおそるおそる女性を見た。

肩くらいまでの長さのこげ茶色の髪の、年端もいかない少女。

黒髪をハーフアップにした女性は、白がかったグレーのスーツに身を包んでいた。いくつもの勲章がその胸元に光っている。


「なら自重を知りなさい!そもそも、武力は知力があってこそ――――」


乾いたノックの音に女性が目線を上げ、少女が振り向いた。



開いた扉をわざわざノックし、調子のいい行動でやってきた男性。空気が固まる。

「オセッキョーはその辺にしといいて下さいよ、御堂さん」

紅茶色の髪にはゆるくウェーブがかかっている。肩ほどの長さの髪はひとつにまとめられ、男性の自由な雰囲気を形どっていた。

「紺野……」

紺野、と呼ばれた男性が軽くウィンクをして少女を捕えた。ぺこりと頭を下げる少女。