花が開くように、8機のラファールが各軌道をなぞってゆく。
前方に並んでいた機体はそれぞれ2つの側面と斜め上方向、
そして、旋回し、灰色の悪夢の目と鼻の先・真正面に流れる星がひとつ。
側面から、ゴム鞠にも似た重みのある黒い鉄球が撃ち放たれた。
吸い込まれるように伸びる弾道が突き刺さる。
「まだだ!もう一度!!」
電子機器を通した安原の声に、反対側のラファールがガチャンと砲身を剥き出しにした。
敵機の目の前で揺れる安原機が敵の鼻先をかすめるように旋回する。
微動だにしない敵機ではあるが、少しずつ、確実に何かしらの損傷は負っているだろう――…そう確信した安原は操縦桿を握る手に力を込めた。
「何をする気だ、春樹……」
「何をするつもり?…春樹レイ」
冷ややかに目線を突き刺しながら紺野が問うた。
春樹は、笑っていた。
満足そうに、幸せそうに。