硝煙、火薬の臭いが鼻を刺す地上に“empty”と呼ばれた星が降り立つ。
彼女が放った弾丸が、その言葉を紡いだ男の頬肉をねじ切った。
「く…舐めるな…!」
体格の良い他の敵兵が拳を掲げ、少女を打ち倒しに向かう。
「すばる!!」
三浦の叫びが谺し、空に消えた。
後方に跳び退きつつ金色に光る銃を右腿のホルスターから抜いた少女……皆瀬すばるは、コンクリートの地面を擦るように己を制止させる。今度は反動を利用して前に跳躍した。
目標は真っ直ぐに
自分へ向かうその拳。
「な……!?」
男は殴り付ける勢いのまま、すばるの予想外の動きにたじろいだ。
困惑と動揺の権化、固めた拳に冷ややかな冷気。
「…邪魔です」
拳の真正面に、
銃口が張りついていた。


