「至急旋回!急げ!!」 叫んだ紺野自身、それが遅すぎたことには気付いていた。 「(下手には…動けない、か)」 「紺野隊長…」 ついさっきまで敵機の飛び交う空を見上げ、不敵に笑っていた男は何処にも居ない、と海機隊員・幸田は思う。 「幸田君」 紺野はくたびれた雰囲気を浮かべて笑った。 「…っわ、」 突然バランスを崩した船体に幸田が思わず声を上げた。 「尾舵がやられたかな…!」 紺野が駆け出した。 その後ろに、普段は見せない紺野の苦々しい笑みに目を見開いた幸田が続く。