御堂香織は、ふと過去へと飛来していた感情を今に帰した。 両開きのドアが開け放たれた長官室は外の喧騒とは打って変わって静寂に包まれている。 それもそのはず、全ての隊員が配置に出払っているのだ。 《トリカゴ》にも何発か攻撃が加えられている。 御堂はひとり、決意新たに真っ白なシャツの襟を正した。 「アタシも…やらなきゃ、」 今度こそ、 大切な人に “おかえり”を 言うために。 「しんご……」 消え入りそうな声で呟き、御堂はあの日と同じドアから部屋を飛び出した。