「……しんご」 少女が顔を上げた。 呼ばれた名前はまるで自分のモノでは無いような気がして、少年は小さく笑う。 「…なんだ?」 少女は夕闇の中、立ち上がった。ゆらゆらと揺れる薄い影にしんごが振り向く。 広い空を背負う少女の脚は、微かに震えていた。 左足が浮き上がる。 小さな少女の身体は今にも崩れてしまいそうな程に儚い、としんごは感じた。 ドアの敷居を跨ごうとしたまま停止する少女の目に、頼りなく揺れる自分の姿を認める。